古希と乗馬

　ペーターに乗るのは今日が最後、淋しい？
ううん、ホッとしている。
　ペーターは食べ物をおねだりするけど、食べると途端にグイッポの要求が来るらしい。
　厩舎にはいると直ぐにおやつ入れポケットに鼻を持っていった、気持ち良く無口を掛けさせてくれるかと、おやつを一つあげると.....
　サーッと柵の方を向いて前歯を掛けて一生懸命グイッポを出そうとしだした、其所へ通りかかった生徒さんが氷砂糖を下さった。
　11時過ぎもうじきお昼ご飯ですよね、完全に部屋の中にいる私は無視されました、無口を掛けようと近づくと歯をむき出して見せます。
「中山さ〜んお願いペーターに無口を掛けて下さ〜い！」助けを呼びました。
彼女はあっさりとやってのけました、私は完全に失格です。
　洗い場に連れて行って繋いだ途端に、左の二の腕を思い切りガブッと噛みつかれました。
　こんな事はどの馬にもやられたことがありません。
内心ビクビクしながら装備を終えて、馬場に出た時です、先生が大笑いしてます。
　なんと言うことでしょう、無口もつけて厩舎に返す時のような格好で連れてきたのです。
　私は心底動転してしまっています。
　咬まれたことを知らない先生は（さては惚けたな？）と心の中で危惧したことでしょう。
　乗ってからも、ペーターは首を振り、頭を振り上げる動作を繰り返します、先生の言われる通り手綱を緩めてみました。
　でも止めません。
随伴を続けながら、振り上げようとした時に拳を握るようにしました、大分治まりました。
　駈け足になった途端にペーターは素晴らしい走りを見せてくれました。
　その後は問題もなく大人しくなりました。
　馬を出す時に見せた甘やかした態度が馬鹿にされる原因を作ったのでしょう。
反省です。
　帰宅してからは肘まである袖の服を着て、咬み痣を隠しております。